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京都地方裁判所 昭和44年(ヨ)412号 判決

申請人

竹村昌己

松下周一

代理人

前堀政幸

村田敏行

被申請人

株式会社京都ホテル

代理人

田辺哲崖

田辺照雄

主文

申請人らが被申請人の自動車部従業員たる地位を有することを仮に定める。

被申請人は、申請人松下周一に対し、金三三〇、〇〇〇円を即時に、昭和四五年三月一日以降本案判決確定まで一カ月金五三、八八四円づつを毎月二〇日限り、それぞれ仮に支払え。

申請人らのその余の申請をいずれも棄却する。

申請費用は、これを六分し、その三を申請人竹村昌己の、その二を申請人松下周一の、その一を被申請人の各負担とする。

事実

第一、当事者双方の申立

一、申請の趣旨

申請人らが被申請人の自動車部従業員たる地位を有することを仮に定める。

被申請人は、申請人竹村昌己に対し、金二、〇一七、五八五円を、申請人松下周一に対し金二、二三五、九四二円を直ちに、申請人竹村に対し金四八、五六八円、申請人松下に対し金五三、八八四円を、それぞれ昭和四四年七月以降毎月二〇日限り仮に支払え。

二、被申請人の申立

本件各申請を却下する。

第二、申請の理由

一、被申請人は肩書地においてホテル業を営み、併せて昭和三九年九月一般自動車旅客運送事業の免許を受け、同年一二月二〇日以降いわゆるハイヤー業を営む者である。

申請人竹村は、同年一二月五日、申請人松下は同月七日、それぞれ、被申請人に雇用され、被申請人のハイヤー事業場である自動車部において、自動車運転手として勤務していた者である。

二、被申請人は、昭和四一年一月五日申請人らに対し、予告手当を支給したうえ労働協約五条並びに六条の定めにより即日解雇する旨通告した。

三、しかし、本件解雇は次の理由により無効である。

(一)  被申請人が申請人らに対する解雇の根拠として掲げる労働協約(以下本件労働協約という)は、被申請人のホテル業部門の従業員によつて組織された京都ホテル労働組合(以下ホテル労組という)と被申請人との間で締結されたものであるところ、被申請人が営むホテル業とハイヤー業とは、営業内容、営業の場所、従業員の労務内容を異にする別個の事業場である。すなわち、前者は、一定の不動産を中心とする設備に客を集め、サービスを提供するものであるのに対し、後者は旅客の求めに応じて旅客を運送するものであり、前者は営業所内において労務に服するのを原則とするのに対し、後者は各従業員が営業所外に出て、自動車の運転という運転免許を要する特殊な労働に従事するのである。したがつて、賃金体系においても相違し、通常、前者においては、歩合給は考慮の余地が生じないのに対し、後者においては固定給の外に相当の比率を占める歩合給が付加される。

それ故、被申請人は、後者を前者から分離することを指示し、後者を自動車部と称し、別個の営業所を設け、専任の部長を置いて独立採算制をとり、前者との人事交流を行なわず、就業規則も別個に定め、賃上げの団体交渉についても、ホテル労組とは別個に、かつては自動車労組を相手とし、現在では、ホテル労組ハイヤー支部を相手としている。

そうすると、労働組合法七条一号但書、一七条により、ホテル部従業員によつて組織されたホテル労組と被申請人の間に締結された本件労働協約は、自動車部の従業員である申請人らに対しは、その効力が及ばないというべきである。

(二)  本件労働協約には、この協約の適用範囲を被申請人、ホテル労組、被申請人の従業員である右組合員とするが(五条)試傭見習期間(入社後三カ月)中の者は組合員としない(六条一項四号)旨規定され、ショップ制として、ホテル労組は、組合員を除名したときは、遅滞なく、被申請人に文書で通知し(七条二項)、被申請人は被除名者を原則として解雇し(同条一項)、被申請人が被除名者の解雇を不適当と考え、または異議ある場合は、労組と協議のうえ、九〇日以内に解雇の適否を決定し(同条三項)、被申請人は、組合員が労組から除名され解雇と決定したときは、予め、ホテル労組に通知してその意見を聞き、これを解雇する(八五条一項八号、二項)旨規定されている。

ところで、申請人らは、試傭期間中のためホテル労組に加入する資格を有しない時期である。昭和四〇年一月一八日、被申請人自動車部従業員一六名で自動車労組を結成し、総評全国一般労働組合京都地方本部に加盟したものである。そして、適法に存立する二個以上の労組が存在する場合使用者が一方の労組とユニオンショップ協定を締結したとしても、右協定は他方の労組の構成員には何らの効力を及ぼし得ないものと解すべきところ、試傭期間中の従業員も憲法に保障された団結権を有することは明らかであるから、使用者と既存の労組間にユニオンショップ協定がある場合に、右従業員らが新たに労組を結成した場合にも、右と同様に解すべきである。

(三)  本件労働協約にはホテル労組への強制加入の規定と不加入者を解雇する規定は存在しないから、これと別個に自動車労組を結成し、ホテル労組に加入していない申請人らに対し、ホテル労組を除名することは起り得ず、したがつて、申請人らに前記協定の解雇の規定を適用する余地はなく、したがつて本件解雇は、いずれも、解雇権の濫用である。

(四)  本件解雇は不当労働行為である。

自動車部従業員の山口、荻原両名の不当解雇撤回運動をホテル労組が取上げてくれなかつたので、申請人らは、右撤回の交渉をするため、自動車部従業員で別個に自動車労組を結成し、申請人竹村がその組合長に選出され、交渉の結果右両名の解雇は撤回された。

ところが、被申請人の取締役園四郎らは昭和四〇年二月一二日自動車労組をホテル労組の支部的存在にして行きたいので、組合を一本化するよう話し合つてほしい旨自動車労組員に通告し、そうしなければユニオンショップ条項により解雇する旨暗示し、同月一七日自動車部の営業を臨時休業し、翌一八日「会社はハイヤー業は人命を預かる業務であるから、不慮の災害を心配し、自動車労組の姿勢を正すため、会社の責任において休業する」旨の文書を自動車部従業員に配布した。

また、そのころ、試傭期間中の自動車部従業員の一部がホテル労組への加入を認められてホテル労組ハイヤー支部を結成するや、前記園取締役は、自動車部従業員に対し、穏健な組合の要請によつて営業を再開する旨告示した。さらに、被申請人は、同年二月、自動車労組を指導し、これに好意的であつた中村清に対し、岐阜グランドホテルへの出向を命じ、これを拒否した同人に対し、三カ月の休養を命ずるとともに自動車部への立入りを禁じ、同年九月、同人に再び同様の出向を命じ、これを拒否した同人を同年一〇月解雇し、同年七月には、前記ユニオンショップ協定を適用して、自動車労組員であつた、山内、文字の両名を解雇した。

この間、申請人らは自動車労組の組合長、副組合長あるいは執行委員として右労組の活動を続けて来たため、被申請人の怒りを買つて解雇されたものであつて、本件解雇は労働組合法七条一号三号に該当する。

四、申請人らは、本件の解雇通告後、失業保険金の仮払い、カンパ、妻の労働、借財、僅かの貯金などで辛うじて生計を支えてきたが、その生活困窮から救われ、生活の安定を得るためには、解雇通告前の従業員たる地位を仮に定めるとともに、解雇時以降本案判決確定まで、従前の賃金支払日である毎月二〇日に、解雇通告直前三カ月の平均賃金額の仮払いを受ける必要があるところ、その平均賃金額は、申請人松下については金五三、八八四円であり、申請人竹村については、同人が昭和四〇年一〇月に盲腸炎を患つたため、同月および翌月の水揚げ高が低く、右水揚げ高に比例する賃金算定方法が加味されているため、その得た給与は著しく低額となつているので、右罹病と関係のない同年八月、九月、一二月の各賃金を基準にすると金四八、五六八円である。

但し、申請人らが、本件解雇通告後被申請人主張の収入を得ていたことは認める。

第三、被申請人の主張

一、申請の理由一、二項の事実を認める。同三項中申請人らが被申請人自動車部の従業員であつて、その試傭期間中に自動車労組を結成したこと、本件労働協約に申請人ら主張の、適用範囲、非組合員の範囲に関する規定があることは認めるが、その余の事実は否認する。

四項の保全の必要性は否認する。

二、(一)申請人らは、自動車部はホテル部とは別個の事業場であるから、ホテル労組と被申請人との間に締結された本件労働協約の効力は自動車部従業員たる申請人らには及ばない、というけれども、自動車部もホテル部とともに被申請人の企業の一部であるから、本件労働協約は当然申請人らに適用されるのであつて、申請人らも入社時の労働契約の中でそのことを承認している。

(二) また、申請人らは、自動車労組結成後は試傭期間が経過しても本件労働協約の効力は申請人らに及ばない、というけれども、申請人らは入社時の労働契約において、当時被申請人における唯一の労働組合であつたホテル労組と被申請人間にすでに存在した本件労働協約に従う旨承諾したから申請人らが別の組合に加入したかどうかとは関係なく、ホテル労組加入資格を取得した時から当然本件労働協約の適用を受ける。

(三)ユニオンショップ制を含む本件労働協約締結の際には、加入資格がありながらホテル労組に加入しない者があることは全く予想外であつたので、右ショップ条項としては組合から除名された者は解雇されるとのみ規定されたのであつて、ユニオンショップ制度の目的に徴すれば、加入資格を有しながらホテル労組に加入しない者は当然解雇の対象になると解すべきである。

申請人らは試傭期間が過ぎて右の加入資格を取得した後もホテル労組に加入しなかつたので、被申請人は右ユニオンショップ協定条項である本件労働協約五条、六条などに基いて申請人らを解雇した。

三、申請人らは本件解雇通告を受けてから生活に困窮しているというけれども、申請人竹村は昭和四一年四月一四日から昭和四四年六月末日まで申請外日本清装株式会社に雇われて、その間計金一、八一六、五七〇円の収入を得ており、これは一カ月平均約四八、〇〇〇円に相当する。また、申請人松下は同年九月一〇日以降昭和四四年三月二〇日まで申請外小林長太郎商店に雇われて計金一、四〇三、〇〇〇円の収入を得ており、これは一カ月平均約四五、二〇〇円に相当する。申請人らは、右のほかにも若干の収入を得ていて、生活に困窮しているわけではないから、本件申請はその必要性を欠くものである。

第四、当事者双方の立証認否〈省略〉

理由

一被申請人はホテル営業を目的とするものであるが、申請人竹村は昭和三九年一二月五日、申請人松下は同年同月七日、それぞれ、被申請人に雇用されたこと、その当時、被申請人の従業員で組織されたホテル労組があり、同労組と被申請人間に労働協約が存在し、その協約中には、いわゆる、ユニオンショップ条項が含まれていたが、三カ月の試傭期間中の従業員は、右労組に加入する資格がなく、したがつて、右協約の適用を受けない旨規定されていたこと、被申請人は、同年同月二〇日、いわゆるハイヤー業をも営むこととなり、ホテル部のほかに自動車部を併設し、申請人らは自動車部の運転手として勤務することになつたこと、被申請人は、昭和四一年一月五日、申請人らに対し、同人らを即日、予告手当を支給したうえ、解雇する旨通告したことは、いずれも、当事者間に争いがない。

被申請人は、右解雇の理由として、前記労働協約は試傭期間を経過した者は当然ホテル労組に加入して右協約の適用を受けることを予定して締結されたものであり、申請人らも雇用される際の労働契約中でこれを承認しており、したがつて、前記ユニオンショップ条項は試傭期間を経過してもホテル労組に加入しないものは当然解雇の対象になるという趣旨に解すべきであり、この解釈はユニオンショップ制度の目的からも当然であるところ、申請人らは試傭期間を経過してもホテル労組に加入しなかつたから、前記協約五条六条等のユニオンショップ条項に基づき、ホテル労組の要求に応じて解雇した旨主張し、申請人らは、右協約は試傭期間中にホテル労組とは別の自動車労組に加入した申請人らにはその効力を及ぼし得ない旨主張するので、先づ、右解雇理由が合理的かつ、妥当なものとして肯認し得るかどうかを考察する。

前記協約には、五条に、この協約は、被申請人、ホテル労組被申請人の従業員である同労組員に適用する旨、六条に、特定の除外者以外の従業員はホテル労組に加入しなければならず、入社後三カ月間の試傭見習期間中の者は右除外者に含まれる旨、それぞれ規定されていることは当事者間に争いがなく、ユニオンショップ協定に関するものとして、七条に、ホテル労組は、組合員を除名したときは、遅滞なく文書で被申請人に通知し、被申請人は、被除名者を原則として解雇するが、解雇を不適当と考え、または、異議のある場合は、組合と協議のうえ、九〇日以内に解雇の適否を決定する旨、それぞれ、規定されている旨の申請人らの主張事実は、被申請人の明らかに争わないところであるから、被申請人はこれを自白したとみなすべきところ、右諸規定を総合的に考えると、ホテル労組に加入しても除名された者は解雇の対象になるのであるから、加入をすら拒否する者は勿論解雇の対象になると解し得る余地があり、さらに、成立に争いのない疎甲二五、二六号証によれば、申請人らは、雇用される際、右のような労組およびユニオンショップ協定の存在を、ほぼ、認識し、かつ、これを承認していたことが、いちおう、認められること(被申請人らの雇用時の労働契約は、〈証拠〉によれば、単に、試傭期間中被申請人労組間の協約、および就業規則に相当する社則に従うことを誓約しただけであることが、いちおう、認められ、ホテル労組に加入しなければ、ユニオンショップ条項により解雇の対象となることを承認したものとは解せられない)や、ユニオン・ショップ協定は通常は特定労組への加入を要求するものであることを合せて考えると、被申請人の前記主張も、いちおう肯けないわけではない。

しかしながら、申請人らが、試傭期間中に、他の自動車部従業員約一〇数名とともに自動車労組を結成したことは当事者間に争いがなく、〈証拠略〉被申請人は自動車部従業員数名を解雇したのに対し、申請人ら自動車部従業員が右解雇を不当であると考え、その撤回を要求しようとしたが、既存のホテル労組はこれを取上げてもくれなかつたので、自動車部従業員らは、このうえは、自分らの労働条件の確保向上を図るため、自ら組合を結成して被申請人と団体交渉するほかはないと決意し、前記自動車労組を結成したものであること、その後、同労組は被申請人と団体交渉を重ねた末一部被解雇者の解雇を撤回させ、昭和四〇年の、夏期、および、年末一時金支給についても、ホテル労組とは別個に、被申請人と団体交渉を重ねたことを、いちおう、認めることができ、この認定に反する証拠はない。

右の結成の経緯、ならびに、その活動状況から認められる、自動車労組の自主的性格に、前記ユニオン・ショップ条項が、ホテル労組からの被除名者といえども、被申請人は、なお、これを解雇するかどうかの裁量権を留保されている極めて緩やかなものであることを参酌すると、自動車労組の構成員がホテル労組のそれよりも極めて少数であることが窺われるにもかかわらず、申請人らの自動車労組による団結権は、これを保護すべきものと解するのが相当である。

そして、前記ユニオン・ショップ条項が被申請人主張のような解釈のもとに、申請人らに適用されるとすれば、申請人らの右団結権が侵害されることは極めて明らかである(被申請人は右双方の労組に加入し活動することは可能であるというけれども、それは事実上至難であることは前記自動車労組結成の経緯からも明白である。)から、申請人らは前記ユニオン・ショップ条項による解雇の対象にはならないものといわなければ、したがつて、被申請人は、たとえホテル労組の要求があつても、申請人らを解雇すべき義務を負わないのであるから、その主張する前記解雇理由は、合理性、かつ、妥当性を欠き、本件各解雇は、いずれも、解雇権の濫用であつて、その余の争点を判断するまでもなく、無効であるというべきである。

二そこで、進んで、本件申請の必要性の存否を考察する。

(一)  〈証拠略〉申請人竹村は、、解雇通告の約三カ月後である昭和四一年四月から現在まで、引続き日本清装株式会社に雑役夫として就職し、その間、一カ月平均金四四、〇〇〇円ないし金四六、〇〇〇円を収得し、これに、母の仕送り、または、妻の内職による一カ月金約六、〇〇〇円の収入を加えて、妻と幼児一人を扶養していることが、いちおう、認められ、右合計金額は、〈証拠略〉被申請人に在職中の一カ月平均給与であると認めるべき金四八、五六八円よりも僅かながら多額であるから、申請人竹村は、本件解雇通告を受けて以来現在まで、概ね支障なく経済的生活を維持してきたものであり、今後も同様の状態で経過するものと考えられる。

もつとも、右本人尋問の結果によれば、申請人竹村は、現在の清装夫よりも被申請人における原職に復帰することを望んでおり、右清装会社にも原職に復帰できるときは退職するとの諒解のもとに在職していることが、いちおう、認められるから、被申請人自動車部従業員たる地位を仮に定める必要性は否定し難いけれども、前記認定のような経済状態である以上、直ちに被申請人に給与の支給を命ずべき必要性はないといわなければならない。

それ故、申請人竹村の本件申請中金員の仮払いを求める部分は保全の必要性を欠くものとして理由がない。

(二)  次に、〈証拠略〉申請人松下は、妻と幼児一人を扶養しているところ、本件解雇通告後自動車運転手として雇われ先を転々としていたが、約八カ月後の昭和四一年九月、小林長太郎商店に自動車運転手として雇われ、昭和四四年三月二〇日同商店を退職するまで、概ね一カ月平均金四五、〇〇〇余円の給与を受けていたが、退職後は就職できず、失業保険金一カ月金二八、〇〇〇余円、妻の内職による月収金約一八、〇〇〇円のほか、生活扶助料として一カ月金一七、〇〇〇余円を受給し、借金を残しながら生活していることが、いちおう、認められ、〈証拠略〉申請人松下が、本件解雇通告を受ける直前、被申請人において受けていた給与の一カ月平均額は金五三、八八四円であつたことが、いちおう、認められる。

右の事実から考えると、申請人松下は、解雇通告後右商店を退職するまでは、被申請人における給与と大差のない収入を得、格別の支障なしに生計を維持していたけれども、退職後は生計維持が困難な状態にあるというべきであるから、申請人松下については、本件申請中右退職時までに関する部分は保全の必要性がなく、理由がないけれども、それ以後については被申請人自動車部の運転手たる地位を仮に定めるとともに、被申請人に対し給与支払いを命ずる必要性があり、かつ、その支給金額は右保全命令の言渡しまでは一カ月金三〇、〇〇〇円を限度として認めるのが相当であるが、右言渡し後は、申請人松下は被申請人自動車部で勤務する反面、前記失業保険金や生活扶助料の支給を停止されることが容易に予測されるから、前記原職における給与額である、一カ月金五三、八八四円の支給を要するものと認めるのが相当である。

(三)  以上のとおりであるから、申請人竹村の本件申請中従業員たる地位を仮に定めることを求める部分、ならびに、申請人松下の本件申請中、昭和四四年四月一日以降に関する部分を右に認定した限度において認容し、申請人らのその余の申請を棄却することとし、申請費用の負担につき民訴法九五条、八九条、九二条、九三条一項但書を適用して、主文のとおり判決する。(東民夫 上野利隆 河原畑亮一)

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